手力整体塾@からだ応援団のパンチ伊藤です。
今回は塾生の体験をキッカケにした尿もれと骨盤底筋群のおはなしです。
骨盤底筋群のトレーニングで本当に尿もれを解消できるのか
中高年になると深刻な【尿もれ】。
解消法を求めてネット上を見回せば、いたるところで「骨盤底筋群を鍛えましょう」の一文を目にするはずです。
それはもうまるで「馬鹿の一つ覚え」「門徒物知らず」の有様。
誰かが作り上げた『常識』の揚げ足取りを生き甲斐にしている天の邪鬼整体師としてはどうにも腑に落ちないので、誰かが言ってることは一旦無視して今回も事実だけを冷静に繋いでみたいと思います。
『尿もれ対策』世間の認知
『尿もれ』で検索すると1位に表示されるユニ・チャームのウェブサイトには、「尿もれは骨盤底筋がゆるんでいるサインとも言えます。」と記載されています。同時に↓のようにも書かれています。
尿意がないのにお腹に力を入れた時に起こる尿もれを「腹圧性尿失禁」といい、高齢者を除けば、女性で最もよくみられる尿もれのタイプです。
https://jp.lifree.com/ja/urine-leakage/female.html
同じく『尿もれ』で検索上位表示されている更年期ラボからも引用します↓
骨盤底筋群(膀胱や尿道、子宮など骨盤内の臓器を支える筋肉)が緩み、骨盤の中にある臓器がきちんと支えられていないために起こるもので、妊娠・出産、加齢、肥満、閉経による女性ホルモンの低下などがおもな原因としてあげられます。
https://ko-nenkilab.jp/symptom/incontinence.html
原因としてどちらも骨盤底筋群の弱化をあげていますが、尿もれが起こるシュチュエーションは「お腹に力を入れた時・咳・クシャミ・笑った時・急な動き・重たいものを持った時など」とされています。
咳・クシャミ・笑った時・急な動き・重たいものを持った時に何が起こるのか。ここが重要なわけです。
尿もれ・失禁あれこれ
ひとくちに尿もれ・失禁と言っても状態によっていくつか種類があります。
腹圧性尿失禁
『 咳・クシャミ・笑った時・急な動き・重たいものを持った時など 』不意にお腹に力が入り腹腔内圧が高まった際、膀胱に圧が加わって尿が押し出されれるように失禁してしまうタイプ。
切迫性失禁
何かに膀胱が刺激されるなどして急にきた尿意に耐えきれず失禁してしまうタイプ。膀胱の病気や脳(司令部)の病気も疑われます。
溢流性失禁
いわゆる残尿。尿が出にくくなる排尿障害が前提になるタイプ。
機能性尿障害
運動機能低下のためトイレに間に合わないとか、認知症のため排泄行為を認識できないなど、機能的にトイレで排尿できないタイプ。
とまぁアレコレとありますが、【腹圧性尿失禁がダントツに多い】ということについてはどなたも異論ないと思います。なのに、猫も杓子も「骨盤底筋群を鍛えましょう」ということに疑問を抱く人はいない。←ここが不思議なところです。
少しだけ膀胱の解剖生理
膀胱は筋肉で出来ていますが、他の筋肉製臓器と同様平滑筋で構成されています(心臓だけ別)。
平滑筋=不随意筋なので意識的に動かすことはできず、尿が溜まった時だけ勝手に収縮します。
膀胱の排尿筋と内尿道括約筋は消化管のような蠕動(ぜんどう)運動をしないので、膀胱自体の不随意な収縮と内尿道括約筋の不随意な弛緩によって尿は出口に近づき、最終的に外尿道括約筋(ここは横紋筋でできた随意筋)を弛緩させることでオシッコしているわけです、わたしたち。
外尿道括約筋は随意筋なので、オシッコって途中で止められますよね。
つまり、途中でオシッコ止められるなら骨盤底筋群は大丈夫ってことで、まさにそれが骨盤底筋群のトレーニングになります。
『水洗トイレの普及が日本人女性の骨盤底筋群をダメにした』という説もあります。大和撫子は排尿の音を骨盤低筋群でコントロールしていたんだそうです。
健康のためのエクササイズは『わざわざやらない』ってのが鉄則でもあります。はい、今日からオシッコは細切れに出しましょう!
水圧がめちゃ高いままで蛇口を力任せに締める?
オシッコを途中で止められるのにふとした時に漏れちゃう人は、機能的には問題のない『腹圧性尿失禁』一択で良いと思います。
腹圧性尿失禁が生じる『 咳・クシャミ・爆笑・立ち上がり時・重たいものを持つ時 』は、言葉の通り【腹腔内圧が高まる時】。
デフォルトの腹圧が高からず・低からずの程よい状態なら更なる圧がかかってもなんてことありませんが、腹圧が高いところへ更に圧をかければ膀胱が押しつぶされるのは至極当然です。
つまり普段から腹圧が高過ぎるのが問題なわけで、それを放置したまま骨盤底筋群を鍛えるのは、水圧がめっちゃ高いのに一生懸命蛇口を閉めるようなもの。臭いものに蓋するようなものなのです。
それって本当に骨盤底筋群のエクササイズ?
「骨盤底筋群を収縮させているつもりがまったくアベコベに動いていた!」
わざわざエコーで骨盤低筋群の動きを確認した塾生のそんな言葉がこのエントリのきっかけになっております。
【骨盤底筋のエクササイズ】と言われているもののほとんどが、腹筋群なども一緒に収縮させて『腹圧を上げる』エクササイズなので、一番動かしにくい骨盤底筋群が押されて伸びちゃう事は容易に想像できます。一生懸命アベコベの作用を起こしている人は結構多いはずです。
高過ぎる腹圧を放置したまま骨盤底筋群を鍛えるのもおかしな話ですが、機能解剖を理解していない人が『骨盤底筋群のエクササイズ』を提唱・指導している場合があるのも困った話です。
これが骨盤底筋群。言葉の通り骨盤底を塞ぐようにある筋群なので関節の動きには関与しません。
なのに『骨盤底筋群のエクササイズ』と称して指導されるものは、股関節や腹筋群の動きを伴うものがとても多い。それでは狙いの筋よりも別の筋をエクササイズしてしまうことになります。
横隔膜+腹横筋+骨盤底筋群が連動して腹圧を高める。だから腹圧を高める訓練で骨盤底筋群が鍛えられる・・・とする向きがあるようですが、横隔膜+腹横筋で腹圧を高めた際に骨盤低筋群まで一緒に収縮してしまったら・・・・ウンコが出せません。「はい!いきんでー!!」で骨盤低筋群まで収縮してしまったら赤ちゃん出にくいったらないです。
骨盤底筋群を鍛えたいなら、関節はもちろんも腹さえも凹ませては✕。スクワットとかハーフブリッジとか内転筋とか全く無意味です。
先述のとおり、おしっこを途中で止めるor固いウンコを途中で切るのが○。おしっこを途中で止められるならそもそも必要ありませんけどね。
腹圧性尿失禁なら腹圧を下げましょう
ご丁寧に『腹圧性』という名前がついているにもかかわらず、「高過ぎる腹圧を下げましょう」と提唱している人が何故か居ない。横一線で門徒物知らずの様相なので、【当たり前】を何よりも大切にするワタクシが声を大にして提唱したいと思います。
咳・クシャミ・爆笑・立ち上がり時・重たいものを持つ時などにオシッコが漏れちゃう『腹圧性尿失禁』なら、まずは腹圧を下げましょう!
圧が高いのに蛇口だけ一生懸命締めたって限界がありますし、終いにはぶっ壊れますよ!
腹圧については過去にもブログを書いているので読んでみてください。
高い腹圧を下げるならこんなセルフケアもあります↓
利害関係にある人が作り上げた”常識”を鵜呑みにせず、まずは一度疑ってみましょう。なんの疑いもなく信用・拡散してしまうと、予期せずに詐欺の片棒を担ぐかも知れません。
ちなみに、男性の場合は尿もれよりも残尿が気がかりだと思います。加齢と共に膀胱が固くなってオシッコの勢いがなくなり同時に切れも悪くなる。しっかりと腹圧を掛けて膀胱を押しつぶしましょう。最後のひと絞りはやっぱ骨盤底筋群。球海綿体筋・坐骨海綿体筋・肛門挙筋あたりをキュッキュッと収縮させるのが肝心です。
お願い
数年前のGoogleコアアップデート以来、のワタクシのような一般人が書いたこの手のブログはどんなに内容が良くても検索上位に表示されません。
皆さんのシャアや口コミだけが頼りです。
「言われてみれば確かにそうだ!」と納得いただけた方は是非SNSなどで拡散してください。この記事が広まってもワタクシは儲かりませんがw、腹圧性失禁で困っている人が1人でも救われたら本望です。