わざわざ難しい独自の理論を展開しつつ、最終的に単純なものを提供する事が多い世の中です。何でそんなことが起こるかと言えば、何故そうなるのか言っている本人も良くわからないからだと思うのです。

わからない事はわからないままで良い!

トリガーポイントは難しいか

自覚している症状とは掛け離れたところにあって、痛みの引き金になっている発痛点の事をトリガーポイントと言います。トリガーポイント自体自覚されることは稀で様々な関連痛を引き起こすとされています。

首肩が凝って頭が痛くなったり、胃の調子が悪くて背中が痛くなったりするのはもはや常識だと思いますが、これらも広い意味ではトリガーポイントが引き起こす関連痛の筋筋膜性疼痛症候群です。

筋の損傷や酷使が要因となってトリガーポイントは発生すると言われています。頭を支えるべく首の筋肉を酷使したり、胃に負担をかけ続けたりしたら、頭痛や背部痛が生じやすいのは当然かもしれませんが、損傷も酷使もして無いのにコリが生じている場合が星の数ほどあるので、発生要因は十分に解明されたわけではありません。

トリガーポイントと筋膜

1980年代。筋骨格系の痛みのほとんど全てを表す『筋筋膜性疼痛症候群(MPS)』とトリガーポイントの概念が体系化されました。当時も今も筋肉と筋膜はひとくくりなのに、何故か昨今筋膜だけ切り離して語られる場合を暫しみかけます。

個を確立し全と繋げるために不可欠な筋膜だけれど、それ自体が能動的に縮んだり伸びたりするのわけじゃないので、あくまで筋肉とセットで『筋筋膜』とするのが(今のところ)正解だと思います。
(面倒なので手力整体塾では単純に『筋肉』だけ通しています)

整体の知恵で身体を面白がる

身体は小さな宇宙みたいなものなので大半の部分が未だ解明されていません。
60億と言われてきた人間の細胞の数が突如半分近く減ったのも、腸間膜が新しい臓器として分類されたのもつい最近の事。まだまだわからないことだらけです。

わからないことは「わからない」で良い。

現象は起こるけれど何故そうなるのか本質の部分はわからない。そんな事の方が世の中まだまだ多い。わからないのにアレコレともっともらしい御託(妄想)を並べるから難しくなるんじゃないでしょうかね。
わからないことはわからないまま愉しめば良いのであります。

ロジカルな思考しかできないのはバランスが悪い。科学ばかりを崇拝していると随分と遅れる事にもあります。

生命の本質すら未だ解明されていませんけれど、ひとつハッキリしているのは、キチンと栄養と酸素を摂って、且つ肉体と脳を動かさないと人間は死ぬってこと。栄養と酸素が化学変化して生じるエネルギーは、『動き』で活性化して身体の隅々に循環するってことです。

特定の筋肉に偏った負担がかかれば痛みを生じるのもわかりきった事です。
損傷しなくても酷使しなくても、収縮を伴わない短縮しっぱなしの筋肉がコルのも(何故そうなるかはおいといて)確かなことです。受動的に縮んでいるから症状は出ない。狙うべきコリが隠れてしまうのはそれだけの理由だと思います。単純な事柄が複雑に折り重なっているというのが真理ですよ!

そんなわけで、手力整体塾のトリガーポイントは本家の理論とは少し違います。基本的にわかりきった事実だけを繋いで隠れたコリを探していくのです。たまにある不思議な現象は余計な理論を無理につけず、お客さん・患者さんと一緒に『不思議ですね~』と楽しみましょう。身体を面白がるきっかけになれたらそれで良いのですからね。

トリガーポイント探しの動診

先日久しぶりに開催したトリガーポイント講座でまさにそんな時間を楽しみました。(塾生の皆さんも面白がってレポートしてくれました
いきなり凄い先生になろうとせず、お客さん・患者さんと一緒に真のコリを探して下さい。本人の身体なんだからそれくらい参加してもらいましょう!

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